このページの内容は2022年1月以後保守されていません.
コプレーナ線路の解析に必要なガイドラインをまとめておきます.

トップ/ サポート/ TIPS/ コプレーナ線路の解析方法

コプレーナ線路の特性インピーダンスを解析したい

図はコプレーナ線路の特性インピーダンスを解析するための典型的なモデルの例です. モデルの図をクリックするとモデルをダウンロードすることができます. また、右下のグラフをクリックすればグラフの設定をダウンロードできます.
コプレーナ線路の特性インピーダンスを解析するための良いモデルを作るために次のガイドラインに従ってください.

対称線を置き、水平に線路を描く
対称線をなくしても結果は同じですが、メモリの使用量が4倍になります.
グランド導体は上下の壁に接触させてはならない
グランド導体に負のポートを使っている場合は負のポートが短絡されてしまいます. 負のポートを使っていない場合は解析できます.
ポートはひとつで十分
線路の特性インピーダンスを解析するにはポートがひとつあれば十分です.ひとつのポートから他のポートに信号が伝わっていく構造にする必要はありません.
負のポートはなくてもよい
必ずしも[-1][1][-1]という負のポートを使う必要はありません.信号線路だけにひとつポートを置けば十分です.
グランド導体の幅は信号線路の幅の2〜4倍
それ以上広くすると解析時間が無駄に長くなります.
boxのtopとbottomまでの距離は信号線路の幅の3〜5倍
それ以上天井を高くする意味はありません.

図はあまり効率の良くないモデルの例です.上記のガイドラインに合致しない点がたくさんあります.

コプレーナ線路の伝送損失を解析したい

まず不整合損失と線路の伝送損失を区別してください. 線路の伝播定数γ=α+jβの実数部α(dB/m)は、1mの長さの線路のS21ではありません. αは必ずしも線路の特性インピーダンスと関係がありません. Zo=10Ωで損失の小さな線路もあれば、Zo=50Ωで損失の非常に大きな線路もあります. S21は線路の損失と不整合損失と、そして線路の長さに依存した多重反射の影響で周波数特性にリプルを持ちます.それゆえS21の周波数特性から線路自身の本質的な評価をすることは必ずしも良い方法ではありません.

純粋に線路の損失αを求めたいのであれば、特にコプレーナ線路の場合は 1portモデルで伝送線路を評価する方法 をお勧めします. その方法に必要なモデルは上記の "コプレーナ線路の特性インピーダンスを解析したい"と全く同じです.

もし、線路の損失ではなく特定の長さの線路のS21を知りたいだと確信を持てたら下記方法を使ってください.

コプレーナ線路のS21を解析したい

これは典型的な悪いモデルです. 解析もうまくいかないし、測定しても不安定で説明のつかないトラブルに見舞われ、セットに組み込めばさらに奇妙な現象に悩まされるでしょう.

このモデルは教科書やたくさんの文献に掲載されている形と同じですが、実際に作るとうまくいきません.教科書では当たり前のこととして省略されていることがあるのです.

図はコプレーナ線路に付き物の不要モードに対する対策を施したモデルです. 二つのモデルのS11は下のグラフのように大きく異なります.

コプレーナ線路のS21を解析、(あるいは実験)する場合、次のガイドラインに従ってください.