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UHF RFIDタグのアンテナのモデルの入力から解析までの操作を、 各グレードごとの違いを含めて詳しく紹介します.

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ソネットの各グレードの差

ここではUHF RFIDタグアンテナの設計開発を前提に ソネットの各グレードの差を紹介します. 放射レベルの表示機能はアンテナの解析に必ず必要です. アンテナの動作や設計理論が明確な場合は、最適化パラメータは2個で十分でしょう. しかし、アンテナパターンだけを与えられて、仕向け地やICチップに合わせて修正するとすると、最適化パラメータはもっとたくさん必要です. UHF RFIDタグでは解析空間の分解能は各グレードで概ね決まります. プロセスの精度やばらつきと比較して必要な分解能を選ばなくてはなりません. Professional版では0.1mmの分解能も可能です.そしてその場合はチップを実装する場合の寄生リアクタンスの補正も行うので、他のグレードより格段に高い精度が望めます.

Lite LitePlus Level2Basic Level3Gold Professional
放射レベル × ×
最適化パラメータ数 × 1 2 2 無制限
給電点付近のリアクタンスの補償 × × × ×
アンテナ問題での現実的な解析空間分解能 800x600(約1mm□) 800x600(約1mm□) 1600x1200(約0.5mm□) 3200x2400(約0.25mm□) 6400x4800(約0.125mm□)
モデルの例 fd_lite.son fd_l2b.son fd_pro.son

Sonnetの起動

Sonnet Task Barを起動
[Project]-[New Geometory]でxgeomを起動

単位の設定

xgeomで[Circuit]-[units]でUnitsダイアログを開く
FrequencyをMHzにして[OK]でUnitsダイアログを閉じる

層構造の設定

xgeomで[Circuit]-[dielectric layers]でDielectric Layersダイアログを開く
Dielectric LayersダイアログでAdd [Above...]をクリックして開くダイアログで[OK]
Dielectric LayersダイアログでThicknessを上から 75mm,0.2mm,75mmに設定する.75mmは概ね自由空間波長の1/4.0.2mmはアンテナパターンを形成するフィルムの厚さ.
Dielectric Layersダイアログの0.2mmをクリック
Dielectric Layersダイアログの[Edit...]をクリックしてDielectric Editorダイアログを開く
Erelを2, Dielectric Loss Tanを0.005に設定して[OK]で 閉じる.この値はフィルムの電気的パラメータ.
Dielectric Layersダイアログを[OK]ボタンで閉じる

金属導体の定義

xgeomの[Circuit]-[Metal Types]でMetal Typesダイアログを開く
Metal Types ダイアログで [Add...]ボタンをクリックし、Metal Editorダイアログを開く
Metal Editorダイアログで, Nameを Cu18um, Conductivityを5.8e7, Thicknessを0.018, current Ratioを1とし、[OK]ボタンで閉じる
Metal Typesダイアログを[OK]ボタンで閉じる.

外形の入力とボックスパラメータの設定

xgeomで[Tools]-[Add Metalization]-[Draw Rectangle]で三つの四角を 描く、
  1. 300x300mmの四角、その右上の頂点に
  2. 左下の頂点を一致させた150x10mmの長方形、その右上の頂点に
  3. 左下の頂点を一致させた300x300mmの四角
300x300mmの四角は概ね自由空間の一波長を意味する. 150x10mmの長方形は概ねアンテナの大きさを意味する. Sonnetのアンテナ解析ではアンテナの周囲におよそ1波長の空間が必要なので、この三つの四角形でその概形を把握する.
xgeomで[circuit]-[box]を選びbox settingダイアログを開く
box settingsダイアログで cell sizeをx,yとも1mmに設定し
[Setbox size with mouse]をクリック
三つの四角を囲むように領域を指定する.
box settingsダイアログで Cell sizeの右のLockをチェックする
box settingsダイアログで Num.Cellsを16,32,64,128,256,480,512,600,640,768,800,1024,1200,1600,2048など二進数で切の良い数字にまるめる.(この例では多分800x600が適切)
Level2,3/Professionalの場合セル数の設定
  1. Box Sizeの右のLockをチェックする
  2. Num.Cellsにより大きな数値を設定する.

ほとんどのアンテナのモデルでは、解析領域の中で導体が占める面積が非常に小さい.その場合メモリ使用量はNum.Cellsの値でほぼ決まる. Lite/LitePlusでは 800x600で13MB程度、Lievel2Basicでは1600x1200で40MB程度、Professionalでは 6400x4800で520MB程度は特に工夫無く解析できる. ただし解析時間が長くなるので、なるべく小さな値で試すこと.

box settingsダイアログで
  1. Top MetalをFree Spaceに
  2. Bottom MetalをFree Spaceに
  3. [OK]ボタンで閉じる
この操作によって、解析空間のtopとbottomに電波吸収体が貼り付けられる.
xgeomで[Edit]-[Select All]
xgeomで[Edit]-[Delete]

パターンの入力

例えば右の図形を描画し
[Edit]-[Duplicate]でコピーします.
さらに[Modify]-[Flip...]でフリップダイアログを開き
水平方向に反転します
適切な位置に移動し
細いエレメントも描画します.
図形全体を領域の中央に移動しておきます. xgeomで[Edit]-[Select All],[Modify]-[Center]-[Both]
xgeomで[Edit]-[Select All], [Modify]-[Metal Properties]でMetalization Propertiesダイアログを開く
Metalization Propertiesダイアログで、MetalをCu18umにして、[OK]

ポートの設定

Sonnet Lite/LitePlus/Level2,3の場合
xgeomで[Tool]-[Add port]
Sonnet Lite/LitePlus/Level2,3の場合
給電位置にportを追加する.
Level2,3の場合
portをダブルクリックして Port Propertiesダイアログを開き、 Resistanceを300にして,[OK] (このアンテナのインピーダンスは約300Ωになる)
Professionalの場合
現実の実装構造と同じく、 離れた導体パターンの端部にポートの+/-端子を配置することもできます.
Professionalの場合
xgeomで[Tools]-[Add Component]-[Ports Only]
Professionalの場合
ダイアログのGeneralタブで Number of Portsを2, Terminal Widthを例えばOne Cell, Ground Node Connectionを Floatingに設定します
Professionalの場合
ダイアログのPhysical Sizeタブで portにマウントするチップの寸法を入力し、[OK]でダイアログを閉じます. (この値は表示に使用されるだけで、解析には使用されません.)
Professionalの場合
port位置でクリック、
Professionalの場合
port位置でクリック、
Professionalの場合
port2を右クリックして Port Propertiesダイアログを開く
Professionalの場合
port番号2を -1に修正して [OK]で閉じる
Professionalの場合
できあがり

解析条件の設定

xgeomで[Analysis]-[Setup]でAnalysis setupダイアログを開く
Analysis setupダイアログでCompute Currentsをチェックする
Analysis setupダイアログで[Advanced]ボタンで,Advanced Optionsダイアログを開く
Sonnet Lite/LitePlus/Level2,3の場合
Advanced Optionsダイアログで De-Embedのチェックをはずし、[OK]で閉じる
Analysis setupダイアログで Analysis ControlをFrequency Sweep Combinationsに
Analysis setupダイアログで[Add...]ボタン
Sweep typeをSingle Frequency,
Freqを900MHzにして[OK] (アンテナの中心周波数など必ず解析したい周波数)
Analysis setupダイアログで[Add...]ボタン
Sweep typeをAdaptive Sweep(ABS),
Startを600MHz,Stopを1200MHzにして[OK]
Analysis setupダイアログで[OK]ボタン
xgeomで[File]-[Save]

解析と結果の表示

xgeomで[Project]-[Analyse]
30秒ほどで解析が終わる
[Project]-[View Responce]-[New Graph]でemgraphを開く
Lite/LitePlusの場合 emgraphで[Graph]-[terminations]でTermination Setupダイアログを開く
Lite/LitePlusの場合 termination Setupダイアログで Resistanceを300にして、[OK] (このアンテナのインピーダンスは理論上300Ωになる)
emgraphで[Graph]-[type]-[Smith]を選ぶ.
インピーダンス軌跡はスミスチャートの中心の300Ω近辺を通過する. Professionalの場合はポート周辺の寄生リアクタンスの処理が厳密なため、Lite/LitePlus/Level2,3とは位相が異なる結果になる.