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平面三次元電磁界シミュレータが採用している モーメント法の仕組みを説明します. そして、モーメント法の二つの代表的な手法、 閉空間モーメント法と、開空間モーメント法の特徴をまとめます.

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モーメント法概要

ソネットが図のような簡単な問題を解析する手順を説明します. 大まかにはMatrix FillとMatrix Solveという二つの段階を踏みます.

Matrix Fill 行列の充填

ソネットはまず、図のように導体パターンをいくつかの領域に分割します. この領域を"subsection"と呼んでいます. 次に、この"subsection"同士が電気的に結合している様子をしらみつぶしに 調べて、 その結果を表(行列)に書き込んでゆきます.これがMatix Fill工程です. Matrix Fill工程では、行列をコンピュータのメモリに蓄えるために "Subsection"の数の自乗に比例したメモリが必要です.

Matrix Solve 連立方程式を解く

"subsection"同士の関係が全てわかると、ポート(端子)にある電圧を与えたときに、 どこにどれだけの電流が流れるかを計算することができます. これは数学的には巨大な連立方程式を解くこと、 あるいは逆行列を求める操作なのでMatrix Solveと呼んでいます. この計算に必要な時間は"Subsection"の数の3乗に比例します.

モーメント法まとめ

モーメント法は他の解析手法に比べて "必要メモリが少なく解析が速い"という利点があります. しかし、上の説明で明らかなように 電磁界解析でありながら、電界や磁界を求めることはできません. 導体上の電流と、端子間の特性だけがわかります(解析結果には電界と磁界の影響が完全に含まれています.) . ほとんどの電気系の技術者にとってこの弱点は重要ではありません. "電界や磁界を求めるよりも、端子間の関係を小さなコンピュータで早く計算できる” ことが重要だからです.

閉空間モーメント法と開空間モーメント法

ここまでの説明では、右の図のように 問題とするモデルが、直方体の空間に囲まれていたことに注意してください. Sonnetではこの直方体の壁は(基本的に)理想的な導体です. ところが、Sonnetに非常に近い、しかし異なるアルゴリズムを持ったシミュレータがあります.この違いをまとめてみました.

一言で言えば

といえるかもしれません.


閉空間モーメント法
SONNET
開空間モーメント法
周囲条件 金属で囲まれている 無限に広がっている
Matrix Fill 速い 遅い
導波管共振モード ×
ポートインピーダンスの精度 ×
数値計算精度 ×
グリッド 固定 可変
subsectionの形
アンテナの解析

この表は、 IEEE MTT-S 2002 Workshop TSC "EM Simulators - Theory and Practice" Module 4 "Method of Moments Formulations" より抜粋し、 わかりやすい言葉に書き換えたものです.